
思えば、私がセクハラと言ってしかるべきことを体験したのは、まだ「セクハラ」という言葉がなかった時代のこと。
コピーライターの養成所に通っていた頃、講師をやっていた大手広告代理店勤務の人と二人で飲みに行ったら、
「ホテルに行こう」
と誘われたのです。今はその瞬間に「アウト!」という時代ですが、当時の私がまず思ったのは、「へー、私なんかを誘うんだ……」ということでした。さすがに「ありがたい」とまでは思いませんでしたが、「どうもどうも。恐れ入ります」みたいな感じで、全然腹が立ったりはしなかった。そうして、
「一応、講師やってる立場で誘ったりしていいわけ?」
「こういうのに乗ってくる女の子もいるんだろうなあ」
という興味の方が勝ってしまい、
「世の中ってこういうふうに回っているのかー。面白いなあ」
と学ばせてもらったものです(一応お断りしておきますが、もちろんついて行かなかったですよ。まったく好みのタイプではありませんでしたし)。
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