青森市と同市のIT企業フォルテ（葛西純社長）、電気通信大（東京）の研究者でつくる共同チームは12月から、積雪を活用した発電が実現できるかどうかの研究開発に着手する。廃校のプールに雪をため、プールに張り巡らせた伝熱管から得られる冷気と、太陽熱などの外気との温度差を活用する。29日、関係者が現地を視察した。
実験を行うのは、3月末で閉校となった旧大栄小（同市浪岡）のプール。断熱シートを使って長期間雪を保存し、来年11月ごろまで実験を続けたい考え。まずは、避難所などとして活用している校舎の電灯などの電力を、どの程度賄えるのか検証する。
エネルギー学を専門とする榎木光治同大准教授によると、雪の中に張り巡らせた伝熱管を通して得た冷気と、外気との温度差を使って、タービン内の冷媒に対流を発生させ、その回転力で発電する仕組み。
同准教授は、積雪を使った発電は太陽光発電と同等の発電効率だと見込んでいるが、今回の実験で、実際にどの程度効率的に雪から電気を取り出せるかを確認し、将来的に新たな発電技術の確立を目指していく。
温度差が大きいほど発電効率が高まるといい、いずれは現場周辺にある温泉熱の活用も検討する。
青森市は全国有数の豪雪地帯で、大雪だった昨冬の除排雪事業費は過去最大の約60億円に上った。葛西社長は「毎年コストをかけて捨てられる雪からエネルギーを得るという、雪国ならではの循環型再生可能エネルギーを目指したい。グリーンエネルギーならぬ、青森発のホワイトエネルギーをつくりたい」などと抱負を語った。
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