英語教育、会話に偏りすぎでは=パート・野村祐子・64(東京都)

 いくつかの言語を独学で学んだ経験から、近年の英語教育はコミュニケーションツールとしての英会話学習に偏りすぎているように感じる。
筆記体で文字を書くこともなく、大学は英語以外の外国語も実用性に特化した授業が多い。

 確かに企業はグローバルな視点から即戦力を求めており、外国文学を学ぶだけでは就活で不利になるかもしれない。
ただ都立高入試で導入されるスピーキングテストは賛否両論がある。
たとえ会話やヒアリングが苦手でも、英文を読むことが好きな中高生は少なからずいるはずだ。
教育者はそんな人たちに、原書で英文学や英字新聞を読む楽しさを伝えてほしい。

 目先の利益にとらわれて不祥事を起こす大人たちが多いが、教養のための外国語を身につけることで人間としての品格が備わると思う。
未来を担う若者を英会話だけに追いやることのないよう、多様な英語教育の道を開いてほしい。

https://mainichi.jp/articles/20221129/ddm/005/070/002000c