――現実との接続というと、今作は政治の世界が緻密に描かれるのも特徴的です。
今作で最大の悪と言っていいのが、ルー大柴さんが演じる堂波真一総理大臣。彼の祖父が人体実験によって怪人を生み出し、孫の総理大臣は怪人差別を温存しつづけ、彼らを搾取することで私腹を肥やし、さらには怪人の武力を使って海外派兵をも企んでいる。
ネットでは堂波総理は安倍首相がモデルなんじゃないかという声も大きいですが、そこは狙っていたんでしょうか。

白石 みんなルーさんが安倍さんと似ているって言っているけど、似てるからキャスティングしたつもりはまったくありません。
バラエティにたくさん出るようになってからは、ルー語の面白い人ってイメージが強くなったんだけど、シリアスですごくいい芝居をする役者だなと思ってて、単にずっと仕事がしたかったんですよ。
ルーさんに「安倍さんのように演じてくれ」とは言ってないけれど、憲政史上最長在位の首相で誰にとっても印象が強く残っているからこそ、日本の総理を演じるとなるとどうしても意識せざるをえないと思いますよ。
脚本や物語もそうで、やっぱり日本の社会問題を取り上げると、マイノリティの問題にせよ、9条とつながる問題にせよ、安倍政権や自民党の実際の問題と結びついてしまう。けれど、人そのものをモデルにしたかったわけじゃないんです。

『仮面ライダーBLACK SUN』の監督・白石和彌が語る想い「ライダーを現実の悪と闘わせたかった」 - ブッチNEWS(ブッチニュース)
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