https://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/20221201/4040013632.html

鳥インフルエンザ ニワトリ11万羽24時間体制で処分進む

鳥取市の養鶏場で11月30日、複数のニワトリが死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、高病原性とみられる鳥インフルエンザウイルスが検出されました。
県では12月1日から、この養鶏場で飼育されているおよそ11万羽の処分を進めています。

県によりますと、鳥取市の養鶏場で11月30日の朝までに、40羽のニワトリが死んでいるのが見つかり、県の遺伝子検査の結果、致死率が高い高病原性とみられる「H5亜型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。
県内の養鶏場で、鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは初めてです。
これを受けて県は、この養鶏場のニワトリ11万羽を殺処分することを決め、自衛隊に災害派遣要請を行った上で、県職員と陸上自衛隊米子駐屯地の隊員、およそ200人が24時間体制で交代しながら作業を進めています。
また県はこの養鶏場を中心に、半径3キロ以内をニワトリや卵の移動を禁止する「移動制限区域」に、半径10キロ以内をその地域からの出荷を禁止する「搬出制限区域」に指定しましたが、この範囲にほかの養鶏場はないということです。
12月1日の夕方、県は対策本部会議を開きこのなかで、担当者は12月1日の午後4時時点で、全体の16.5%にあたる1万8000羽あまりの殺処分が終わったと報告しました。
すべての処分は3日午後1時ごろに終わる予定で、殺処分されたニワトリは、鳥取市内の焼却施設で焼却されることになっています。
また今回感染が確認されたのは、卵を出荷する養鶏場としては県内最大規模だったことから、県が仲卸業者やスーパーに影響を調べたところ、不足する分は県外産の卵で補えるということで、現時点では流通量や価格に大きな影響はないということです。
会議の中で平井知事は「足らない予算については編成作業を進めているが、数億という単位で追加予算が必要とみられ、明日以降、議会側とも調整を進めたい。科学的に食べても大丈夫な卵やお肉が出回っているほか、生活面でも影響はないので、無用な買いだめや買い占めには走らないでほしい」と述べました。

今シーズンの鳥インフルエンザウイルスの感染確認は、例年より早いのが特徴です。
農林水産省のまとめによりますと、国内の養鶏場では10月28日に、今シーズン初めて岡山県倉敷市と北海道厚真町で確認されて以降、14の道と県であわせて22例の感染が確認されています。
初めて確認された時期は、昨シーズンよりも半月ほど早く、感染確認のスピードは、過去最多の52例が確認された、令和2年度を上回るペースとなっています。
国は、渡り鳥やそのフンによって、農場の敷地内にはウイルスが存在する可能性を念頭に置いて、鶏舎の中にウイルスを持ち込まないよう、農場の敷地内や鶏舎の周辺は、ため池などの水場には特に注意しながら毎日消毒を行うほか、農場内で履く長靴と鶏舎内で履く長靴は分け、交差しないよう設置場所に注意することなどを呼びかけています。
また県では、岡山県など近隣の地域でも感染が確認されていたことから、消毒に使う石灰を県内80の養鶏場に配付したり、ほかの鳥が入らないようにネットが設置されているかなど、養鶏場の対策を確認したりするなど対策を進めていました。

県内の養鶏場で鳥インフルエンザが確認されたことを受け、県は、県内で流通する鶏肉や卵の安全性は確保されているとして、県民に対してこれまでどおりに消費するよう呼びかけています。
県によりますと、30日時点で感染が確認された養鶏場からの卵の出荷は停止していて、県内で流通している鶏肉や卵の安全性は確認されているということです。
また国の食品安全委員会は、鳥インフルエンザのウイルスは酸に弱く、胃酸で不活性化されると考えられることなどから、鶏肉や卵を食べても、鳥インフルエンザがヒトに感染する可能性はないという見解を示しています。
県は「迅速で正確な情報提供に努めるので、根拠のない噂などにより混乱することがないようご協力をお願いします」と冷静な対応を呼びかけています。

鳥インフルエンザの確認をうけて県は、ウイルスを運ぶと見られる野鳥の監視体制を、最も高いステージ3に引き上げました。
ステージ3では、感染が確認された養鶏場を中心に、半径10キロ以内の区域で、県の担当者が鳥の死骸や弱った鳥がいないかや、野鳥の数や種類などを毎日確認します。
またこの区域にある渡り鳥が特に多く飛来する池などで行っている鳥のフンの調査を、1か月あたり1回から2回に増やすほか、区域外にある渡り鳥が多く飛来する湖や沼などでも、2日に1回監視を行うなど体制を強化することにしています。