https://news.yahoo.co.jp/articles/adab5c312f2c28b5784f2fb057562738649ee595

部下が成長「できる職場」と「できない職場」の決定的な違い

マネージャークラスの社員は、組織やチームの目標達成のため、優れたメンバーを育てる必要があります。そのため、多くのマネージャーが関心を寄せ、悩みの対象となるのが「人材育成」です。株式会社村田製作所では、上司と部下のあいだなどで1対1の対話をする「1on1ミーティング」を、日頃行っているマネージャーへ「コミュニケーションに関するアンケート調査」を実施。部下が成長できる職場を模索しています。みていきましょう。
マネージャーの悩み1位「人を育てること」
マネージャーとしての悩みに関する質問に対して、「人を育てること(83%)」が1位という結果になりました。つづく2位は「モチベーションを高めること(64%)」と、人材育成に関する悩みが上位になり、全体の傾向として「管理スキル」より「対人スキル」の領域で苦戦しています。
マネージャーへ「メンバーの成長度合い」をアンケート
今回アンケートの対象となった、上司と部下のあいだなどで1対1の対話をする「1on1ミーティング」を日頃行っているマネージャーのなかでは、8割以上のマネージャーが「非常に成長している/成長している」と回答しました。テレワークや在宅勤務が普及するなか、業務やコミュニケーションを通じて、マネージャーの多くがメンバーの成長を実感しているという結果でした。
またメンバーが「非常に成長している」「成長している」と回答した人をグループA、それ以外をグループBとして両者の違いについて深掘りをしてみました。
メンバーが「成長している」グループと「成長していない」グループの違い
グループA/Bを比較した際、以下2つの違いが明らかになりました。
・"結果"よりも"過程"に重きを置いてメンバーと接している。
・職場の状態として"心理的安全性"が高い。
■違い(1):"結果"よりも"過程"に重きを置いてメンバーと接している
「メンバーの成長を実感したとき/場面」に関する質問について、メンバーが非常に成長している/成長していると回答したグループAでは「部下からの提案が増えたとき」が最も選ばれたのに対して、あまり成長していない/わからないと回答したグループBでは「仕事で成果を上げたとき」が最も選ばれました。
業務や1on1ミーティングなどでのマネージャーからメンバーに対する関わり方・観察の仕方に違いがみられ、メンバーの成長が感じられている職場では、「結果に至る過程」により重きが置かれていました。
■違い(2):職場の状態として"心理的安全性"が高い
2つ目の違いとして、「非常に成長している/成長している」と回答したグループAのほうが「心理的安全性」に関する質問の回答がより高いという結果がみられました。今回のアンケート調査では、心理的安全性の評価として、ハーバード大学のエドモンドソン教授が用いた以下7つの設問を用いています。
#1/チームの中でミスをすると、非難されることが多い
#2/チームの中で起きている問題に対して、自由に意見・指摘し合える
#3/チームのメンバーは、自分と考えが異なることを理由に、他のメンバーを拒絶することがある
#4/メンバーは、チームにとってリスクのあるチャレンジが許容されていると感じている
#5/メンバーは、チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい
#6/チームのメンバーはだれも、他人の仕事を意図的に貶めるような行動はしない
#7/チームで一緒に仕事をするとき、メンバーは自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じている。
結果は、すべての項目に関してグループAが高いスコア、つまり、メンバーの成長がみられるグループでは心理的安全性が担保されている、ということが分かりました。特に、「チャレンジのしやすさ(#4)」、「貶める行動の少なさ(#6)」、「非難の少なさ(#1)」の3つの項目においてグループ間での違いが顕著に表れています。
コミュニケーション量は「成長」と関係している?
当初の仮説では「日々のコミュニケーション量とメンバーの成長」になんらかの関係があると考えていましたが、今回の調査では顕著な違いはみられず、グループA(成長している/やや成長している)のほうが、コミュニケーション量はやや少ない傾向にありました。テレワークや在宅勤務など働き方が変化するなかで、関わり方や観察の仕方などコミュニケーションの質の重要さが高まっているのかもしれません。