FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会のグループリーグE組で日本代表がスペイン代表を破ったハリファ国際競技場では1日(日本時間2日未明)、
日本人サポーターによる熱狂の渦が巻き起こりました。その一方で、ドイツ代表戦と同じようにスタンドで見られたのが、上着を羽織って観戦するファンの姿です。
スタンドやピッチをぐるりと取り囲むように並んだ送風口からは、冷気が送り込まれていました。
スタジアムの空調システムについては、カタール大学工学部のサウード・アブドルガニ教授が11月30日、記者会見を開きました。
その説明によると、空調の温度は22〜23度に設定。アブドルガニ教授は「『寒い』と言う人も『暑い』と言う人もいるのは、承知している」としたうえで、
「スタジアム内でも日なたか日陰かで温度は変わるし、どこの国から来たか、どんな体格か、などによっても感じ方は異なる」と理解を求めました。
(中略)
日本人からは「寒い」という声を聞く一方で、適温と感じる人もいます。アフリカのテレビ局「アフリカ・メディア」の記者でカメルーンから取材に訪れた
マオップ・ロベールさんは「ヨーロッパ、西洋から来た人は違うと思うが、私たちにとっては心地いい」と言い、ガーナのラジオ局「ハスケ・ラジオ」の記者サリス・サニさんも
「この温度設定ならOK。ごく普通の温度」と全く問題視しません。2人の口からそろって出てきたのは、「私たちは熱帯の国から来ている」という言葉です。
ガーナのサニ記者は「(大会運営者は暑いカタールで)驚くべきことをやっている。維持管理が大変なので難しいが、可能ならガーナにもこんな空調が是非とも欲しい」
と羨望のまなざしも向けます。
省エネ意識の高まりとともに、日本では真夏でもエアコンの温度を28度程度に設定する習慣が広まってきましたが、オフィス内では、
28度でも寒いと感じる女性の姿も見かけます。W杯の空調を巡る議論は、日本でもよく見かける問題と一脈通じているようです。
人の感覚は性別や生活環境などによって異なるもの。世界中からファンが集まるメガスポーツイベントで全員が満足する答えを導き出すのは、
難しいのかもしれません。
全文
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9e0849a72c555d1ed7732104983d1f657577857