外交と対話だけを紛争解決の手段とし、武力をあくまで否定する「平和主義」は正しく理想的であるように見えて、実は武力行使した側の罪から目を逸(そ)らし、責任の所在を曖昧にする役割を果たしている。
加えて、武力行使された側が応戦したからこそ状況が悪化したかのように印象付け、武力行使された側と第三者が武力行使した側を追い詰めたからいけないのだと錯覚させる効果もある。

非難されるべきはウクライナに軍事侵攻したロシアであり、ミサイルを撃ち込んでいる北朝鮮である。朝日の社説は、この現実を空疎な理想論で誤魔化(ごまか)す詭弁(きべん)だ。
かような詭弁によって、国際法を順守する自由民主主義国家という日本の基本姿勢を揺るがされてはならない。