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加藤シゲアキ「活を入れていただいた」贈呈式で喜びの声
吉川英治文学賞などの贈呈式が9日都内で開かれ、2021年度の受賞者である村山由佳(56)、同じく新人賞を受賞したアイドルグループ「NEWS」のメンバー、加藤シゲアキ(33)、武田綾乃(28)らが登壇した。20年度の贈呈式は新型コロナウイルスの感染拡大で中止となったため、2年分合わせての開催となった。
21年度の新人賞はともに青春小説が受賞作。日々悩みながら好きなことに打ち込む高校生の群像劇を、SNS(交流サイト)とのかかわり方を交えて描いたのが加藤の「オルタネート」だ。主演舞台の昼公演を終えて駆けつけた加藤は、10年前の小説家デビュー当時は「書きたいという欲望のままに書いた」が、「他に優れた作品がたくさんあるのに、自分の作品を並べる意味があるのか」と自問自答し続けたと明かす。今回の受賞で「作家をやってもいいんだよと慰めてもらったような感覚もあるし、活を入れていただいたとも思っている」と語った。
武田の「愛されなくても別に」はいわゆる「毒親」から離れ、自分の居場所を見つけようとする大学生たちを描く。「ヘビーなテーマではあるが、いつまでも逃げていられないと思っていたので、20代のうちに書けてよかった」と思う一方、「小説にしてよかったのかと悩むところも多かった」。作家としてがむしゃらに走り続け、「自分は何を書きたいのか見つめ直してみようと思って挑んだのが、今回の作品」という。受賞したことで「自分が、汚い感情や、隠さなければと不安になる感情を作品にすることで受け入れてもらえるのかなと実感した」と話した。
村山は「うれしさのあまり、受賞の電話を受けたときは泣いてしまった」と笑顔で語った。