家族形態の似た日独の違いは?

 與那覇 これからの日本を考えるうえで気になるのは、トッドさんが日独を同じ直系家族=注=に分類していることです。「親の家業を継ぐ」意識から来る保守的な気風が強い半面、集団行動に適した組織を持つため、両国とも近代に急速な産業化を達成できたとされています。

 しかし冷戦後、ドイツはヨーロッパ共同体(EU)を積極的に運営し、トッドさんの観点では帝国的とさえ呼べるほど自国に都合のよい周辺秩序を作りあげました。逆に、日本は、ひたすら内に閉じこもって人口減も放置し、単に縮小しつつあります。この差はどこから来るのでしょう?

 <注>長男が結婚後も親と同居し、遺産を相続する家族形態。権威主義に親和的で兄弟を不平等に扱う。

 トッド 両国は、地理的、歴史的な側面が大きく違います。ドイツは大陸国、日本は島国で、移民の受け入れ具合もまったく異なります。また、ドイツは、キリスト教の影響でいとこ同士の結婚を許容しませんが、日本は終戦直後の段階でいとこ同士の結婚が1割程度ありました。日本は閉鎖的な傾向がありますが、それでも、ここまで日本が移民をかたくなに拒否するとは思いませんでした。

https://mainichi.jp/articles/20221130/k00/00m/040/240000c