母に自殺教唆した男、執行猶予5年 動機は「あまりにも幼稚」、更生の意欲を考慮 金沢地裁判決

 同居する母親=当時(78)=を自殺に追い込んだとして、自殺教唆と暴行の罪に問われた加賀市塩屋町、無職の被告の男(54)に対し、金沢地裁は5日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。

 野村充裁判官は判決理由で、2人暮らしの母親に不満を募らせる中、食べようとした母親手作りのカレーを母親が勝手に隣人にお裾分けしたと聞き、激高したという動機について「あまりにも幼稚で自己中心的だ」と非難した。

 他方で「肉体的、精神的に虐待して自殺に追い込んだ悪質な事案とは異なる」と指摘し、被告が更生の意欲を示していることを考慮した。公判で被告は、事件当時は酒を飲んで理性を失っていたと述べた。野村裁判官は「保護観察中は約束事を守り、断酒をしてください」と説諭した。

 判決によると、被告は8月16日、自宅で母親に殴る蹴るの暴行を加えた上、目の前に包丁を置いて「はよ、死ねや」と強く迫り、自殺させた。母親は自宅納屋で首をつった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a05bd33a839eeac7a066cd15230a87dabe2dcf43