https://news.nifty.com/article/magazine/12193-2030748/
◆ネットカフェ値上げで野宿を余儀なくされる日雇い労働者の地獄

 ’19年の冬に東北から上京してきたという野田淳平さん(仮名・45歳)の全財産は現在6000円。

 今はアパートに入居するどころか、ネットカフェに泊まることすらままならないという。

「以前はタクシードライバーとして正社員で働いていましたが、週休1日、一日12時間労働で年収は280万円弱とブラックな環境でした。過干渉気味の親と暮らすのもしんどくて、ある日衝動的に実家を出たんです。住む場所もなく、ネットカフェに居座ったのが運の尽きでしたね。とはいえ、当初は日雇いの仕事とアルバイトの掛け持ちで月15万円ほど稼げていて、地元の企業に勤めるよりもずっと楽だと思っていました」

◆毎月の収入が7万~9万円台に激減

 しかし、景気や企業業績に暮らし向きが左右されるリスクが高いのが、非正規雇用者。野田さんも例外ではなかった。上京して半年ほどでコロナ禍となり、生活は徐々に苦しくなっていったという。

「緊急事態宣言が出たことで、昨年4月にアルバイトで働いていたラーメン店が休業。事実上の解雇になりました。日雇いの仕事のみとなり、毎月の収入が7万~9万円台に激減し、ネットカフェ代を払うだけでギリギリ。もとはウィークリープランを利用して、鍵付き個室を自宅同然に使っていましたが、月7万円の出費になるため、昨年夏に引っ越しました」

 そうして次の根城に選んだのが、都内にある別チェーンのネットカフェだった。しかし、その施設は連泊禁止だったため、長くても24時間しか滞在できない。そこから野宿を余儀なくされる日が増えていったという。さらに悪いことに、昨今のインフレが困窮する野田さんを襲った。

◆ポテトの食べ放題が終了。栄養失調気味に…

「利用していたネットカフェはポテトが食べ放題だったのですが、今年2月にサービスが終了。12時間3000円台だったナイトパックが、4150円に値上げされたので、さらに安い2駅先のネットカフェに格落ちしました。最近ではポテトの代わりに菓子パンばっかり食べているせいか、体調が悪い。とにかくずっと横になっていたいんです。

 日雇いの仕事も休みがちになって、収入は減る一方ですね。本当は実家に帰るべきかもしれませんが、惨めな状況になればなるほど、この姿を親に知られたくないと思ってしまうんです」

◆バス停のベンチで夜を明かす

 値上げと収入減により、今年の4月末から週4日の野宿生活に至った野田さん。バス停のベンチで夜を明かすことも増えた