政府は、航空自衛隊の救難捜索機や陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターなどを廃止する方針を固めた。2023年度から5年間の防衛費が約43兆円に大幅増となる中、無人機で代替するなどして、防衛装備品や部隊の「スクラップ・アンド・ビルド」を進め、予算の効率化を図る狙いがある。

 複数の政府関係者が明らかにした。今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略など3文書にこうした方針を盛り込む方向で調整している。

 廃止する航空機は、空自の救難捜索機「U125A」。現在、全国の救難隊に26機を配備している。戦闘機のパイロットが脱出した際、上空からレーダーや赤外線暗視装置で捜索し、パイロットの位置を特定するのが主な任務だ。救出は、救難ヘリが担当している。

 パイロットが脱出すると、身に着けた位置情報を知らせる電波受発信機「ビーコン」が作動するなど、ヘリだけでも捜索や救助が可能なことから廃止を決めた。海上自衛隊の救難ヘリは、空自に移管する方向だ。

 陸自は、戦闘ヘリ「AH64D」(12機)と対戦車ヘリ「AH1S」(47機)、観測ヘリ「OH1」(33機)を廃止する方向だ。

 ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍は、ロシア軍の攻撃ヘリを対空ミサイルで撃墜する一方、攻撃型無人機で露軍の部隊を撃破している。防衛省は来年度以降、攻撃型無人機を大量に配備したい考えだ。今後新設する無人機部隊が、攻撃型無人機の運用を担当する見込みだ。

 海自は、P1哨戒機(33機)や哨戒ヘリ「SH60K」(75機)をそれぞれ削減する。海自は来年度から、海自八戸航空基地(青森県八戸市)に米国製の無人航空機「シーガーディアン」を配備し、試験運用を開始する予定で、将来的に保有数を増やし、監視活動の省力化と効率化を両立させる。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20221209-OYT1T50038/