1980年7月、衝撃的な情報が滋賀県多賀町にもたらされた。密輸容疑で逮捕された暴力団組員が、タイから拳銃と一緒に持ち込んだ毒ヘビを同町山間部の国道から断崖に向けて捨てたと自供した。その数なんと70匹。しかも猛毒を持ち、現地でも恐れられているラッセルクサリヘビとコブラ。凍死させて捨てたつもりが、生き返った状態で見つかったことから、町は大騒ぎになった。大規模な「ヘビ狩り」が始まり、安全宣言を発表するまで1年5カ月を要した。
予兆はあった。組員が自供する9日前、バスの運転手が国道上で横たわる大きなヘビを発見した。別の日には草刈り作業中の住民が見慣れないヘビを見つけ、町役場に持ってきた。
入庁3年目だった小菅俊二副町長(67)が、そのときの光景を覚えていた。「異様な形で最初は『ツチノコとちゃうか』と思った。シュッ、シュッと音を出して威嚇してきた」。学者の鑑定で、インドなど南方に生息する毒ヘビのラッセルクサリヘビと判明した。「なぜこんな場所に?」。町職員が発見場所を捜索したが、そのときは異常はなかった。
7月12日、警察からの一報で事態は急変した。発見現場付近でラッセルやコブラなど計70匹が投棄されたとして、町に捜索を依頼してきた。
組員はタイで、木箱に入れたヘビ
「山に毒ヘビ70匹捨てた」組員供述で騒動 41年前、滋賀で恐怖の大捜索 | 京都新聞
https://nordot.app/830039669856829440