さて、東京の日本橋・兜町では新年相場を語るときには、よく十二支を使う。2023年はうさぎ(卯)年だ。

十二支と相場の関係は、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる、辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、となる。

2020年からのここまでの約3年で見ると、子年に繁栄したのは新型コロナウイルスだったのかもしれない。だが、実は日経平均もコロナショックでつけた安値1万6552円からの上昇を考えると、繁栄したといえなくもない。

昨年の2021年の丑年は、3万円台からつまずきながらも、一時は再び3万円を回復した。しかし、2022年の寅は、ロシアのウクライナ侵攻もあり、暴走した年として記憶されようとしている。

兜町では、これからやってくる3年、卯年・辰年・巳年が、相場格言どおり、「卯跳ね、辰巳天井」の「黄金の3年」になると期待している。「天井」とは、言い換えると高値をつける(上昇する)ことを意味する。高い水準が辰・巳と2年間続くのだ。

彼らがなぜ「黄金の3年」として期待するのか。1つはその上昇力だ。1949(昭和24)年の東証再開以来の73年間で各6回まわってきたが、日経平均の平均上昇率はそれぞれ卯年が16.4%、辰年は28.0%、巳年は13.4%と上昇、まさに黄金の3年間になっている。

もちろん「16%、28%、13%程度で黄金といえるのか」との反論もあろう。だが、代表的な3年間の例を見ると、まさに「黄金」なのだ。1987年の卯年、1988年の辰年、1989年の巳年は、いうまでもなくバブル相場最高潮の3年間だった。この間、ざっくり言って1万9000円から3万9000円まで2万円の上昇は、日本の株式市場の歴史における黄金の3年間だった。

また、そのひと回り前の3年間は1975年の卯年、1976年の辰年、1977年の巳年となる。ベテラン投資家は覚えていると思うが、その直前は1973年の第1次オイルショックや国際金融不安や急激な円高によって、1974年の寅年は「戦後の日本の高度成長は終わった」として、日経平均は安値3355円をつけたのである。だが、後から振り返ると、1975年からの3年間は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」へ走りだした3年間だったのだ。

ちなみに、「卯跳ねる」となっているが、ウサギには「飛躍」だけでなく「安全」という意味もある。2023年は60年に一度巡ってくる十干十二支(じっかんじゅうにし)で言うと「癸卯(みずのと・う)」となり、この意味は「今までの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍する年」となる。易学など無縁な投資家諸氏にとっても、何か楽しくなるではないか。

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