「幻の高級魚」マハタ、養殖全国1位の市では学校給食にも登場…「ぷるぷるおいしかった」

養殖マハタの生産量が全国1位を誇る三重県尾鷲市が、地元でのPRに力を入れている。
マハタは天然での漁獲量が少なく、「幻の高級魚」と呼ばれるが、大衆魚でないため目にする機会が少なく、「全国トップの生産量」はあまり知られていない。今年度は学校給食に取り入れるなどして、地元からの盛り上げを図っている。(根岸詠子)

マハタは温帯から熱帯に生息するハタ科の魚類で、身質は同じくハタ科の高級魚クエとよく似ている。透明感のある上品な白身で、刺し身でも、加熱してもおいしい。その一方で、病気になりやすく、デリケートなために養殖は難しい。

市では1985年頃に養殖が始まり、県が種苗の量産化やワクチン開発に成功したことで、生産量を伸ばした。現在、7業者が養殖しており、2020年には全国で最も多い114トンを出荷。市や業者などが「おわせマハタ協議会」を設立し、市内でマハタ料理が食べられる飲食店をホームページで紹介するなどしてきた。

市水産農林課の丸茂亮太調整監は「生だと弾力と甘みがあり、加熱するとふっくらしておいしい」と太鼓判を押すが、価格が高いことから、スーパーなどに並ぶことはほとんどない。

このため市は今年度から、小中学校での給食にマハタを取り入れ、市職員がマハタについての出前授業も行うなど地元でのPRに力を入れる。

市立尾鷲中では今月7日、防災訓練の一環としてマハタ鍋の炊き出しを実施。初めて食べたという3年の男子生徒(15)は「身はぷるぷるして、だしがよく出ておいしかった」と笑顔を見せた。

丸茂調整監によると、味わった人たちからは好評で、マハタ目当てで尾鷲を訪れる観光客も増えている。マハタ料理を提供する宿泊施設が少ないのが課題といい、「まずは地元から盛り上げて、今後は観光客の要望にも応えられるよう、受け入れ態勢を整えたい」と意気込んでいる。

また、スーパー「マックスバリュ」の県内の一部店舗では現在、尾鷲産マハタを販売する「マハタフェア」を初めて開催。3、4人用の鍋セットはアラ付き5000円程度、アラなし3000円程度という。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221215-OYT1T50096/2/

マハタ(尾鷲市提供)
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尾鷲中で行われたマハタ鍋の炊き出し(7日、尾鷲市で)
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