中国SHEIN創業者、世界的富豪の仲間入り-4人で資産400億ドル
ファストファッションを手掛ける中国のオンライン小売り大手、シーイン(SHEIN)は先月、日本初の常設店舗を東京・原宿にオープンした。ラルフローレンやグッチ、ルイヴィトンなど世界的高級ブランドの旗艦店が軒を連ねる表参道に程近いキャットストリート沿いにある2階建ての店舗だ。
シーイン原宿店は移り変わりの激しいファッション界における成功の象徴というだけでなく、同社を創業した4人が驚くべきスピードで築き上げた巨大な富の証しでもある。
1967年に「ポロ」ブランドを生み出したラルフ・ローレン氏はビリオネアになるのに30年かかったが、シーイン創業者の1人で最高経営責任者(CEO)を務める許仰天(クリス・シュー)氏は10年足らずで世界有数の資産家の仲間入りを果たした。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同氏のシーイン持ち分が3分の1程度と想定すれば、資産額は少なくとも235億ドル(約3兆1800億円)に上る。
創業者4人の資産を合わせれば400億ドル近くとなり、初期投資家の一角で大口出資者でもあるタイガー・グローバルは20倍を超える投資リターンを手にした。
Z世代
中国東部の山東省で1983年に生まれた許氏は大学で国際貿易を学び、オンラインマーケティング企業で短期間働いた。その後、2008年に2人のパートナーと共に女性用衣料・アクセサリーを販売する最初の電子商取引ベンチャーを始めた。
この事業はうまくいかなかったが、当時の仲間との出会いが10年後のシーイン設立につながった。創業メンバーの苗苗、顧暁慶、任暁慶の3氏は現在、同社の業務運営や商品開発、サプライチェーン管理を担当。推定7.6%の持ち分に基づけば、各自の資産は50億ドル強だ。同社の公式サイトに3人に関する情報は掲載されていない。
シーインの担当者は非公開企業であることを理由に詳細な財務情報は公表しないと述べたほか、創業者の資産に関する正確性に異議を唱えたが、それ以上の詳細には触れなかった。
シーインは顧客の半数余りが1990年代後半から2010年代前半に生まれたZ世代。価格10ドル未満の商品を幅広く取りそろえている同社は、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」やユーチューブへのインフルエンサーの投稿を介して欧米を中心に人気を広げた。
18年時点でシーインの企業価値は25億ドルだったが、1年後には倍増。22年4月の資金調達ラウンドでは1000億ドルと評価された。スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)や「ZARA」ブランドを展開するスペインのインディテックスというライバル2社の時価総額を合わせても及ばない評価額だ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-14/RMT6PMT0G1KW01