福岡県の高校生3人に『紅綬褒章』 列車迫る踏切内から男性救助
福岡県大牟田市の高校に通う男子生徒3人に15日、天皇陛下から授与される『紅綬褒章』が届けられました。危険を顧みず、列車が迫る踏切内に入り、間一髪、高齢の男性を救い出した勇気ある若者たちです。
いつものように仲よく歩く、親友3人組は、福岡県大牟田市にある三池工業高校2年の西山文弥さん、猿渡騰士さん、笠間春さん、全員16歳です。
■三池工業高校2年・笠間春さん(16)
「おじいさんが、黄色い線あたりに倒れていたので。」
3人が案内してくれたのは、去年5月、緊急事態に遭遇したJR鹿児島線の踏切です。
その日、3人は自転車で遊びに出かける途中でした。すると踏切内で、自転車から転落して倒れている80代の男性の姿が目に飛び込んできたといいます。
■三池工業高校2年・猿渡騰士さん(16)
「いま見えたところくらいまで(電車が)近づいてきていました。スピードも一緒。」
すでに遮断機は下りていて、列車の運転士に危険を知らせる非常ボタンを押しても間に合わない場面で、3人はとっさに自転車を降りて、踏切内に駆け込みました。
■笠間さん
「自分と猿渡で脇の下をつかんで、斜めに引っ張り出しました。で、西山が自転車を(引きずり出した)。」
■三池工業高校2年・西山文弥さん(16)
「(自転車が)ここらへんにあったので、遮断機の下をくぐりながら自転車を引きずり出して。」
笠間さんと猿渡さんが倒れていた男性を救助し、西山さんが線路上の自転車を動かすという、息の合った連携を見せました。
救い出した男性の足が、踏切を通過する列車に当たるか当たらないかという間一髪のタイミングでした。男性の足と列車の距離は、わずか約10センチだったということです。
■猿渡さん
「(Q.ためらった?)いや、しなかったですね。ためらったら。」
■笠間さん
「その10センチが。」
■猿渡さん
「やばかった。やっている時は怖さはあまり感じなかったんですけど、終わったあとに、足が震えたり身体的に恐怖を感じていたんだなと思いました。」
■伝達式の様子
「日本国天皇は、猿渡騰士に自己の危難を顧みず、人命救助に尽力したことについて、紅綬褒章を授与する。」
危険を顧みずに行動した3人は、この秋『紅綬褒章』を受章し、15日午後、在籍する三池工業高校で伝達式が行われました。
『紅綬褒章』は人命救助に尽くした人に対して、毎年春と秋に天皇陛下から授与されるもので、今回3人は最年少での受章です。
■猿渡さん
「栄誉ある受章をして、うれしいです。」
■西山さん
「とてもうれしかったです。」
■笠間さん
「(今回の受章が)いろいろな時に活力になるように、頑張っていけたらなと思います。」
ともに人の命を救った3人の友情は、ますます深まったことでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9946c13f99cc8b2ad3036570616089e62a8feee5