「コシ」足りず、うどんに不評の香川産小麦 スイーツへ転身…サクッと崩れる食感が好評
讃岐うどん用に香川県が約20年前に開発した県産小麦「さぬきの夢」がセカンドキャリアを歩み始めた。
讃岐うどんの代名詞である「コシ」が十分ではないとしてうどん職人の評価が思うように得られず、
地元洋菓子店などが菓子の材料として手をさしのべた。
サクッとした食感が好評で、関係者は新たな特産品に育てようと意気込んでいる。
県では1970年代以降、オーストラリア産小麦「ASW」が主にうどんの原料として使われてきた。
たんぱく質の一種・グルテンが多く含まれ、切れにくくて弾力があるうどんを打つことができ、讃岐うどんブームの立役者となった。
県内の業界関係者には「県産小麦で作りたい」との声が根強く、県は90年代に新品種の開発に着手。
2000年に「さぬきの夢」が完成した。しかし、「切れやすくてコシがない」と不評で、09年に改良版を出した後も普及しなかった。
県によると、県内のうどん店約500店のうち、さぬきの夢を使うのは49店舗だけ。残りは全てASWだ。
そこで、県は21年、県洋菓子協会などと「さぬきの夢利用促進協議会」を設立。
うどん以外の利用促進を図ろうと、今年11月、県内14の和菓子店や洋菓子店などが新商品をお披露目した。
クッキーやパウンドケーキ、ワッフルなど計14商品。たんぱく質の含有量が少ないことから、お菓子によく使われる薄力粉に近く、
菓子職人から「使いやすい」と評判だった。特にクッキーなどの焼き菓子に使うと、口に入れた時にほどよく崩れる食感が楽しめるという。
ケーキを作った高松市の洋菓子店「サンファソン」の植田真治社長は
「さぬきの夢を生地に使ったことで、食感のやわらかさがより増した」と評価する。
新商品は県内の菓子店などで販売されている。
県の担当者は「あらゆる可能性に挑戦し、多くの人にさぬきの夢を味わってもらいたい」と話している。
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