■野球部員は2割以上も減少

「中学校以下は壊滅状態ですよ」
現場を知る関係者はこう口を開く。

「Jリーグができて、サッカーに流れたなんて言っていた時代はまだよかった。いまは卓球、バスケ、テニス、いろんなスポーツを子どもたちがするようになった。野球が中心という時代は終わった」

■「ルールがわからない世代」が増えた
野球が世界的に盛んな地域は北中南米と東アジアくらいである。欧州でも野球はサッカーやバスケットボールなどに比べると、まだまだ市民権を得ていない。

その一因として複雑なルールが挙げられる。アウトカウントが少ない状況で走者が出れば、送りバントをする。送りバントの中にも自分も塁に出るつもりのセーフティーバントもある。他にもスクイズや犠牲フライ、進塁打など、ルールがわかっているからこそ味わえる野球の醍醐味(だいごみ)がある。

日本では野球のルールは40代以上の大人なら男女を問わず、だいたいは理解できるだろう。それは、彼らがシーズン中には連日、お茶の間で巨人戦を中心にプロ野球中継が流れていた時代に育ったからだ。

つまり、野球はルールが複雑でそれゆえに奥が深いのが魅力だが、その競技の特性上、ルールがわからない層が増えてしまうと、競技人口だけでなく、一気にファン層も減ってしまう。https://news.livedoor.com/lite/article_detail/23386557/

「お茶当番や試合の手伝いをさせられる」と保護者が敬遠
野球が子どもから敬遠されるのには、環境の問題も影響している。

強豪チームともなると、選手の保護者が、日々の練習において、監督やコーチに飲み物を差し出す「お茶当番制」があったりする。

しかも、週末には遠征があり、親が付き添って、練習や試合の手伝いをしなければならない。

「将来はプロ野球選手に」という夢があれば別だが、現在は夫婦共働きの家庭が多く、子どもが週末にスポーツするのは大歓迎でも、親の同伴が必須というのはハードルが高いだろう。

小学5年の子どもがサッカーをしているという東京都内のある母親は、「野球はハードルが高いんですよね。送迎が大変だとか、親がお茶当番をやらないといけないとか聞きますからねえ」と語る。

また、この母親は「サッカーはそういうのがないんです」とも話してくれた。

そもそも「補欠」という概念も日本の悪しきスポーツ文化だ、という声もある。

米大リーグで活躍した上原浩治氏の長男はアメリカで育っている。

上原氏に聞いた話では、アメリカでは学校が休みになると、子どもは地域のクラブチームでプレーするが、チームは試合に必要な人数以上は合格させないという。

それによって、なるべく全員が試合に出られる仕組みになっているそうだ。

かつては地域のスポーツ少年団といえば野球しかなく、黙っていても子どもたちが集まってきたかもしれないが、現在はサッカーやバスケットボールも盛んだ。子どもたちに積極的に野球の魅力を伝えていかないと競技人口の減少には歯止めがかからないだろう。

■監督やコーチが罵声を浴びせ、子どもたちがやめていく
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