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両社の差をつけた設計思想の違い
 同じプラスチック製の玩具を取り扱うタミヤとレゴだが、この両社の違いは販売している商品の特性、顧客層から確認できるという。

「商品の設計思想がそれぞれクリエイティブな面とエンジニアリングな面から出発しているのが2社の大きな違いでしょう。レゴブロックは、カラフルなブロックを組み合わせたり、積み上げたりすることで自分の思うような建築物、キャラクターなどの立体を作れるよう設計されていますよね。『何を作るのか?』という0から1を作り上げる思想を商品から感じますし、何より老若男女問わず想像力を働かせて、クリエイティブな遊び方ができるようになっているんです。

 対してタミヤの商品は、趣味でホビーを楽しむマニアックな層に向けて作られています。基本的にタミヤのプラモデル、模型はキットを取り外して組み立てていきますが、完成までの工程はひとつのアートとして高めていくような、エンジニア的な醍醐味がある作業です。ミニ四駆のようなカスタマイズして速さを競う商品も、『どれだけ速く走らせることができるか?』というエンジニア的な考え方で楽しむ方が多いでしょう。

 こうしたものづくりに対する考え方、商品の特性の違いによって、タミヤはこだわりの強いファンからは熱狂的に支持されているものの、レゴの商品は全世代から受けいれられて、なおかつわかりやすい玩具になり得たのではないでしょうか」(村田氏)

 創造性を重視するレゴと職人的な意匠を凝らすタミヤ。ものづくりの考え方を吟味するだけでも両社の方向性はまるで異なることがわかる。

「またレゴは『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『マーベル』などの映画シリーズとコラボした商品も多数展開しています。ブロックを使って映画の世界を自分の手でシミュレーションできるような感覚に没入できるわけです。しかも映画がヒットすれば、商品の売上も伸びていくので、消費者の創作性と自社の業績のどちらも担保できる戦略となっているんです。

 しかしタミヤのほうは、宮大工が外に出ないような職人気質の強い企業風土となっているのか、映画やアニメと積極的にコラボしていないんです。自社製品のイメージを映画やアニメといった他作品の世界観で固められたくないということなのかもしれません。

 実はレゴも以前はこのジレンマを抱えていたのですが、1990年代終わりに業績が悪化したことをきっかけに地道にコラボ商品を展開していくようにした結果、小中高生を中心にお客を定着させることに成功しました。タミヤは他社・他作品とのコラボレーションといった流行に乗り遅れたことが、レゴと差が開いてしまった一因だと考えています」(同)
https://biz-journal.jp/2022/12/post_329712.html
キーワードとなるのは「教育」「多様性」