午後1時15分、東京地裁で最も広い104号法廷。黒スーツ姿のAOKIHD前会長の青木拡憲被告は、一礼して法廷に入った。マスクを着けていたため表情はうかがえなかったが、裁判長の問いかけや検察官の質問に淡々と応じていた。

 検察側によると、AOKIルートの起点となったのは2017年1月、元理事が経営するステーキ店「そらしお」(東京都港区)での会合。「日本代表選手団の開会式で着る公式服装も受注できるようにする」。前会長は元理事からそう約束され、両者の蜜月が始まったとされる。

 会合から約5カ月後、元理事は、ある懸念を前会長に伝えた。組織委会長としてスポンサー選定の決定権を握っていた森喜朗元首相の名前を挙げ、AOKI側に悪い印象を抱いているとし「何だかんだ言っても決めているのは森(喜朗)さんだ。誤解は解いた方がいい」と伝えたという。
https://mainichi.jp/articles/20221222/k00/00m/040/332000c