宇宙論揺るがす最古の銀河 ジェームズ・ウェッブ望遠鏡

その後さらに、ビッグバンからわずか5億年足らずの時期に天の川銀河サイズの銀河が存在すると報告された。
そんな巨大な銀河が短時間で生まれるというのは、現在の宇宙進化モデルによる予想と一致しない。

ビッグバンの直後、宇宙は想像を絶する高温・高密度の粒子のスープだった。
その後3分間で宇宙が膨張して冷えると、ヘリウムなどの軽い元素の原子核が形成され始めた。
40万年後には宇宙は十分に冷えて、最初の原子が登場した。
そして宇宙が約1億歳になったときに、初代星が誕生するための条件が整った。

初期の混沌とした宇宙から現在のような秩序ある宇宙への移行には約10億年かかったというのが、現在のモデルの予想だ。

だが今回、このモデルに疑問が投げかけられた。
初期宇宙には合体前の小さな原始銀河がたくさん見つかるだろうと予想されていたのに、
すでに大きくなった銀河が観測されたからだ。

「今回の結果は驚くべきもので、宇宙の標準モデルで理解するのは難しい」
と米テキサス大学オースティン校の宇宙論研究者マイケル・ボイラン=コルチンは語る。
現在のモデルに代わる説として、暗黒物質は存在せず、大きなスケールにおける重力の法則を変更することで同様の影響を説明できるとする
「修正ニュートン力学」があるが、異論も多い。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC216YU0R21C22A2000000/