トヨタ自動車が電気自動車(EV)向けの手動変速機(MT)を開発している。高級車ブランド「レクサス」の次世代EVへの搭載を検討する。変速機を必要としないEVにあえてMTを搭載することで、体験できる運転感覚の幅を広げられるとする。

 トヨタの欧州統括会社であるベルギーToyota Motor Europe(トヨタモーターヨーロッパ、TME)が発表した。トヨタLexus Electrifiedチーフエンジニアの渡辺 剛氏は、同MTについて「運転者がいつでも適切なトルクに変速できるのが魅力。本格的に開発を進めており、将来のEVに搭載するかもしれない」と語る。

 開発は、レクサスの現行EV「UX300e」をベースにした試作車で進めている。試作車にはシフトレバーやクラッチペダル、タコメーターを追加で搭載し、MT車の運転感覚を再現した。クラッチがつながっていないことによるエンストや坂道発進時の後退など、MT車で起こりやすいトラブルも体験できるという。

 EV向けMTの採用を検討しているのは、レクサスのスポーツタイプのコンセプトEV「Electrified Sport」をベースとする市販車で、現在開発中だ。同MTに加えて「DIRECT4」と呼ぶ四輪駆動(4WD)制御システムやステア・バイ・ワイヤ(SBW)、ブレーキ・バイ・ワイヤなどを搭載する。いずれもソフトウエアで管理するシステムであるため、運転者個人の好みに合わせた運転感覚を提供できるとしている。

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