埼玉県飯能市美杉台の住宅で住人の夫婦と帰省中だった娘の計３人が殺害された事件で、犯行が数分間のうちに行われたとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。
現場近くの防犯カメラの映像には、男が被害者を鈍器のようなもので殴打している様子が映っており、県警は、夫に対する殺人容疑で２７日に送検した斎藤淳容疑者（４０）とみて詳しい状況を調べている。
殺害されたのは、米国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん（６９）と妻の森田泉さん（６８）、長女の森田・ソフィアナ・恵さん（３２）。
捜査関係者によると、防犯カメラに映っていたのは襲撃の一部。住民の目撃情報などと合わせ、犯行は短時間に行われたとみられる。
ビショップさん宅では１、２階の一部約３０平方メートルを焼く火事もあり、それぞれの階の部屋からは灯油の成分が検出されている。現場には空のポリタンクが残っていたという。
斎藤容疑者は無職で、ビショップさん宅から約６０メートルの距離にある戸建て住宅に１人で住んでいた。ただ、１５年ほど前には映画監督として、新人育成を目的に大阪市で開かれた映画祭で助成対象者に選ばれたことがあった。
当時、映画祭でディレクターだったという男性などによると、斎藤容疑者はエイズウイルス（ＨＩＶ）の感染者を主人公にした「ギフト」と題する作品の制作に、２か月程度にわたり、約１０人のスタッフと取り組んでいた。
映画はクランクアップしたが編集中に斎藤容疑者と音信不通になり、未完だったという。
男性は話し合いのため、飯能市の容疑者宅にも２回行ったことがあるといい、「『親の持ち家に住んでいる』と聞いた。穏やかな印象の人物。前途も才能もあった若者だった」と振り返った。
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