■モラハラ夫から逃げ特別給付金に助けられた女性

2020年4月20日の閣議決定で新型インフルエンザ等対策特別措置法により、特別定額給付金、1人一律10万円が給付されることになった。

東北地方に住む契約社員、山本みゆき(仮名・37歳)は、小学4年生の子どもを持つシングルマザー。「あの特別定額給付金10万円、私と次男の2人分もらえて、一息つけました」と話す。

公務員の夫(37歳)とは離婚が成立していないが、2020年3月に次男を連れて家を出た。1年間かけて準備し、息子とふたりでシェルターに逃げ込んだのだ。
「夫が転勤族で地方の官舎暮らしをしているとき、私は近所付き合いのストレスから精神的に追い詰められ、心療内科でパーソナリティ障害だと診断されました。アルコールに溺れ、死にたい衝動もありました」

夫は、病気を理解することができず、家事や育児をしないのは、単なる「なまけ」と捉えた。3年ほど前から夫が財布を握り、モラハラ、そして経済的DVが始まった。故郷に転勤になったものの山本の病気はよくならず、夫に人格を否定され続けた。

■1万円だけ入った財布を持ち次男を連れてシェルターへ
「一緒に暮らすのはもう限界」と感じた2019年に、女性向けのシェルターを紹介された。そこで、「あなたのされていることは、DVの典型ですよ」と言われる。呪縛が解けたような気がした。離婚を子どもたちに打診すると、中学生の長男は「転校するのはいや」と父親とー緒にいることを望んだ。次男は「ママと行く」と言う。少しでも貯金しようと、知り合いの仕事を手伝い始めた。

そしてコロナが拡大する2020年3月末、1万円だけ入った財布を持って次男と家を飛び出した。警察にもDV被害を報告し、シェルターに身を寄せた。そこに2週間ほど滞在し、アパートを探す。実家滞在も考えたが、親と折り合いが悪く戻りにくい。以前の勤務先の社長からの借金と基金から借りて工面した60万円は、アパートを借り、最低限の生活必需品等を備えると、15万円しか残らなかった。当時は無職。「家賃を払い終えたら、1カ月持つか」と不安だった。


他のもひでーな