外部被ばく線量と疾患「直接的関連認められず」県立医科大
12月28日 15時22分

福島県立医科大学は、原発事故のあと、福島県からの委託を受けて実施している「県民健康調査」の10年分の結果をまとめ、公表しました。

この中で、外部被ばくの線量と甲状腺がんや生活習慣病などとの因果関係について「直接的な関連は認められなかった」と結論づけています。

県立医科大学は11年前の原発事故のあと、県からの委託を受けて、▽外部被ばくの線量▽甲状腺検査、▽こころの健康度・生活習慣などを調べる「県民健康調査」を続けています。

大学はこのほど事故から10年分の調査の結果をまとめ、外部被ばくの線量と病気との関連を分析した論文を発表しました。

この中で、▽甲状腺がんについては、事故後7年後までに甲状腺がんと診断された人の割合を、自治体別に分析したところ、特定の地域で多発するなどの傾向はありませんでした。

また、国際的な調査機関が行った甲状腺が吸収した放射線量の推計値を用いた分析でも、地域差はなかったとしています。

このほか、生活習慣病については、被ばく線量が高い人ほど糖尿病や肝機能障害の発症が高くなる傾向が見られたものの、避難したあとの生活習慣などが影響したとみられ、外部被ばく線量との関連は認められなかったとしています。

このことから、県立医科大学は外部被ばくの線量と甲状腺がんや生活習慣病などとの因果関係について「直接的な関連は認められなかった」と結論づけました。

県立医科大学は「県民健康調査で外部被ばく線量と病気の因果関係が認められなかったという分析結果は、風評や偏見の払拭(ふっしょく)に役立つと考えている」としています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20221228/6050021300.html