マサイ族が伝統の「ライオン狩り」をやめて「マサイ五輪」を開催する理由

ケニアのマサイ族の伝統では、若い男性はみなライオンを狩るのが、大人になるためのある種の通過儀礼だった。ライオンを槍で仕留めれば、マサイ戦士として称賛され、女性からの求婚も殺到したのだ。
だが、ライオンの個体数の減少を受けて、マサイ族は2012年にこの伝統に終止符を打つことにした。英紙「タイムズ」によれば、ライオンを狩る代わりにマサイ族の村々が集まって、スポーツの大会を開催することになったという。

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ライオンを仕留めない槍投げのほか、800メートル走や5000メートル走、高跳びなどの競技もあり、いわば「マサイ式オリンピック」だ。今年も12月中旬に、首都ナイロビから車で4時間ほどのキマナ保護区で開催された。
タイムズによると、ケニア国内のライオンの個体数は1970年代の3万頭から現在は2000頭にまで減少している(主な要因は家畜を襲ったライオンを人間が殺すため)。マサイ族が暮らす地域は、10年前にはわずか十数頭になっていた。そこで、マサイの長老や自然保護活動家らがライオン狩りに代わる方法を考案したという。
その結果、地域のライオンの数は増加に転じ、現在は300頭に達しているとのことだ。マサイ式オリンピックはいま、ケニアで最も成功した野生動物保護活動として称賛されているという

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb39a2cf1f0bc16afa1a449894e98448643aaaee