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「近大ラーメン」2代目は塩系 学内ベンチャー育成へ飛躍の卯年
近畿大(大阪府東大阪市)の新名物として知られる学食「近大ラーメン」店が令和5年4月、2代目に生まれ変わる。初代の学生経営者らが卒業する予定で学食経営者の世代交代を進めるほか、近畿大発のベンチャー創出につなげるのが狙い。学内公募で選出された2代目からは「初代を超える」とのビッグマウス≠熹び出し、近大ラーメンのさらなる飛躍が期待されている。
選考に参加したのは強者ぞろい
「2代目経営者は… エントリーナンバー3番」
12月5日に行われた選考会。2代目として名前を読み上げられたのは、大阪市出身の総合社会学部3年生、村上黎一郎(れいいちろう)さん(21)。村上さんは「初代を超えたい。近大がひっくり返るようなでかい集団をつくったろうと思う」と興奮気味に意気込みを語った。
この選考会には、学内公募から3年生3人が参加。アルバイトでのラーメン店長経験者やラーメン愛好家など、強者ぞろいだった。
3人は、近畿大OBのラーメン店経営者ら選考委員6人を前に、1次審査でラーメンの味や調理の手際などを競った。続く2次審査では、次期経営者として考える事業計画をプレゼンテーションした。
他の候補者がとんこつしょうゆ系のまぜそば、チャーシューや煮卵などボリュームたっぷりの塩ラーメンを提案。これに対し、村上さんは「魚介の甘みを引き出し、レモンを隠し味で使う」という塩系で魚介風味のまぜそばを出した。
1杯の値段は500円。現在の近大ラーメン店「近大をすすらんか。」のまぜそばと同じ価格で、他の候補者より安い値段設定だ。
村上さんは、同店で多いときで週4回、アルバイトとして働く。こうした経験から、学食でまぜそばを提案するのは「原価を抑えやすく、学生にやさしい値段にできる。新商品も開発しやすい」と説明した。
季節限定やセットメニューも用意し、「客単価(1人当たりの販売額)は580円、1日150杯を提供するのが目標。原価率は35%(200円程度)に抑える」と自信たっぷりに訴えた。
学生提案で誕生した新名物
そもそも、近畿大の学食に「近大をすすらんか。」が誕生したのは、新型コロナウイルス禍が続く一昨年までさかのぼる。
初代経営者で農学部4年の西奈槻(なつき)さん(22)がコロナ禍をきっかけに令和2年10月、奈良市で学内の友人らと麻婆豆腐がのったラーメン店を開業し、地元で評判となった。
こうした実績を踏まえて、翌3年に東大阪キャンパスの学内に空き店舗があるのを見た西さんが大学側に出店を提案した。近畿大側も「半年間で赤字なら撤退」の条件を付けて許可し、昨年10月にオープン。今年4月に運営会社「やるかやらんか」を設立して事業を続けてきた。
西さんの店舗では開業当初、ホタテ油の風味や野菜がたっぷり入った初代「近大ラーメン」や魚介やネギ、ニンニクの風味をきかせた「近大まぜそば」の2種類を提供。1杯800円台の価格設定が「学食では高い」との声もあり、まぜそばを500円へ値下げするなど、経営努力を重ねたという。