茨城・つくばセンタービルや米ロサンゼルス現代美術館などで知られ、ポストモダン建築をリードして国際的に活躍した建築家、磯崎新(いそざき・あらた)さんが28日、老衰のため死去した。91歳。葬儀は近親者で営む。喪主は長男宙(ひろし)さん。
大分市出身。東京大建築学科に入学、故丹下健三さんに師事し、故黒川紀章さんらとともに丹下研究室に在籍した。在籍中に、地元大分の政財界からの依頼で「旧大分県立大分図書館」(1966年、国の登録有形文化財)を設計、前後してアトリエを構え独立した。
70年の大阪万博では丹下さんのもとサブプロデューサーとして「お祭り広場」などの構想、設計にかかわった。代表作は幾何学的な図柄や異素材を組み合わせ、ポストモダン建築と評されることの多い「つくばセンタービル」(茨城県つくば市・83年)や「水戸芸術館」(90年)、巨大な楕円(だえん)体の「なら100年会館」(奈良市・98年)など。
86年に王立英国建築家協会のゴールドメダル、97年にスペイン文民功労勲章大十字賞を受賞するなど海外での評価も高く、「チーム・ディズニー・ビル」(米フロリダ州・91年)のほか欧米で多くの建築を手がけた。アトリエからは青木淳さん、坂茂さんらを輩出した。
一方で都市論や文明論を展開する批評家としても積極的に活動。96年、2000年、02年にはベネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館コミッショナーを務め、阪神大震災をテーマにした96年の「亀裂」では金獅子賞を獲得した。
67年「大分県立大分図書館」、75年「群馬県立近代美術館」で日本建築学会賞。83年度「つくばセンタービル」で毎日芸術賞、19年に建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した。
https://mainichi.jp/articles/20221230/k00/00m/040/014000c