カタールに向けられた批判は、同じ湾岸アラブ諸国にも「欧米側の主張の押し付け」と映った。欧米が多様性を強調する半面、「中東やイスラム教は尊重されていない」との思いが根底にある。そう説明したサウジアラビアの男子大学生アリさん(21)は、生まれ育った環境を「突然変えろと言われても、できそうにない」と率直だった。

 サッカーのスター選手が多数在籍する欧州の主要チームの運営は、スポンサーとなっている湾岸諸国企業の潤沢なオイルマネーの上に成立する側面もある。カタールの首都ドーハを訪れたアラブのファンからは、カタールを批判する一方で資金支援を受ける「二重基準」に憤り、ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)を振りかざしているとの反発をよく聞いた。

 次のW杯は2026年。米国、カナダ、メキシコで開催される。レバノン人エンジニアの男性ロイさん(28)は「アラブ人やアフリカ人への差別は一切ない、素晴らしい大会になるのだろう。待ち切れない」と皮肉った。答え合わせは4年後にやってくる。

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