「賽銭さいせん100円以上に疑問」—。こんな見出しの投稿が本紙発言欄に掲載された。
都内の寺で「賽銭は百円以上に」の貼り紙を見かけたというのだ。もうすぐ新年の初詣シーズン。本来は参拝者の「気持ち」であるはずの賽銭に下限額を設けたのはなぜなのか。(青木孝行)

「賽銭の硬貨はなるべく百円以上にしてください」。
ある有名な寺に毎月欠かさず参拝している東京都新宿区の会社員上田淳さん(35)は、賽銭箱横の貼り紙に思わず目を疑った。
9月13日付の東京新聞発言欄で紹介された上田さんの投稿には、「昨今の物価高や手数料値上げの影響が、ついにここまで波及したのかと悲しい気持ちになった」などと心情がつづられていた。

 上田さんが訪れた寺の住職に事情を聴くと、「確かに3日間だけ賽銭箱の上にそのような貼り紙をしていました。思い直してはがしました」と認めた上で、
「小銭を金融機関窓口で入金する際の手数料があまりにも高くて」と釈明した。

群馬県高崎市の進雄すさのお神社は3月から月1〜2回、商店向けに両替サービスを始めた。
禰宜ねぎの高井大樹ひろきさん(41)は「地域の人にとって居心地のよい場所を守っていくのが私たちの役目ですから」と強調する。

 神社本庁によると、過疎化や氏子の高齢化で神社の運営は年々厳しくなっている。そこへ手数料問題が重くのしかかる。
広報国際課の担当者は「地域あっての神社。各神社が地域の皆さんと共に対策を考えている」としている。
 冒頭の住職は「この切実な問題を多くの皆さまに知ってほしい」と願った。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/222586