露、外貨での天然ガス債務返済容認 「非友好国」に 外貨獲得狙いか

ロシアのプーチン大統領は30日、米欧など「非友好国・地域」の企業が露産天然ガス購入に絡む債務を米ドルやユーロなど外貨で返済することを認める大統領令に署名し、発効させた。
ウクライナ侵略に関連して欧州企業などへの天然ガス供給を停止したロシアは、債務返済後の天然ガス供給の再開をちらつかせ、外貨獲得を拡大する思惑だとみられる。

ロシアはウクライナ侵攻後、対露制裁を発動した国や地域を「非友好国・地域」に指定し、対象として日本や欧米諸国を含むリストを公表。
「非友好国・地域」の企業に天然ガス代金を露通貨ルーブルで支払うことを義務付けた。拒否した一部の欧州企業にはガス供給も停止した。

今回、米ドルなどでの支払いを認めるのは、ルーブル払いを義務付ける前の未払い代金などとみられる。
大統領令は、ルーブルによる代金払いをガス供給再開の条件とする方針を維持し、現時点の供給再開を否定。
一方、債務返済は供給再開への一つの条件に過ぎないともした。

ロシアは一部の欧州企業へのガス供給を停止したことでガス輸出も減少。ノバク副首相は12月26日、タス通信のインタビューに
「今年の露産天然ガスの輸出量が昨年から4分の1減少した」と明らかにしていた。
エネルギー企業からの税収は国家予算の約3割を占めるだけに、ウクライナ侵略で財政が逼迫(ひっぱく)しつつある中、
外貨払いを一部認めることで、歳入を少しでも賄おうとしている可能性もある。

https://www.sankei.com/article/20221231-IFIQBOSV7BJITJ6BCHHITKB6PU/