手抜き工事20年経てば修繕不要か 三重のリゾートマンション、「責任消滅」主張のゼネコン提訴へ
三重県志摩市のリゾートマンションで完成から四半世紀の間に建築時の施工不良が相次いで確認され、将来的な修繕費用の負担を巡るトラブルが起きている。住民でつくる管理組合側は法令に抵触する「手抜き」工事が原因だとして、施工主側に今後20~25年間の無償修繕を求めるが、施工主側は工事の不手際を認めつつも、20年経過による法的責任の消滅を理由に応じる気配はない。施工不良の後始末を誰がつけるべきなのか。
■完成数年で発覚
太平洋を見渡す志摩市の観光名所・大王崎近くに建つ平成9年11月竣工(しゅんこう)のリゾートマンション「ロイヤルヴァンベール志摩大王崎」(120戸)。鉄骨鉄筋コンクリート造り14階建てで、準大手ゼネコンの旧住友建設(現三井住友建設、東京都)が施工し、大手住宅メーカーの大和ハウス工業(大阪市)が分譲した。主に別荘などに使用され、約20世帯が定住している。
管理組合によると、施工不良は竣工4~5年目で発覚した。鉄筋を覆うコンクリートの厚さが建築基準法施行令の規定より薄い「かぶり厚さ不足」で水分が鉄筋に浸透。さびて膨張した鉄筋が表面のコンクリートを押して剝落する「爆裂」現象が、廊下やベランダの天井などに相次いだ。
組合側の指摘を受け、大和と住友側は13年前の21年に建設時の施工不良を認め住友側が修繕した。
■1・5キロの塊落下
剝落は令和2年ごろから再び相次ぐ。昨年7月には一室のベランダで、天井から重さ約1・5キロのコンクリートの塊(縦約20センチ、横約50センチ)が鉄筋もろとも崩れ落ちた。組合の松浦潤也理事長(48)は「大けがをする人が出るところだった」と語る。
組合の求めに応じ、住友側は今年春ごろ、目視と打診で調査を実施し、少なくとも数十の危険箇所が見つかった。住友側は修繕工事の準備に取りかかったが、6月に突如撤収した。ほかの箇所で将来、爆裂の危険が生じた場合、組合側は無償修繕するよう求めたのに対し、住友側は無償での修繕は今回限りにしたい考えを示し、双方の主張が対立したためだった。
とはいえ、今回も原因は施工不良にある。松浦さんは「工事中断はあり得ない。責任放棄だ」と憤る。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f3f5fa089231f615b47fdb28ec275b48493d28da