性被害に遭った女性らの米国発の告発運動「Me Too」(私も)はフランスで「Balance Ton Porc」(豚野郎をチクれ)運動に発展しました。無論、セクハラは犯罪です。ただ運動指導者らの「男性は皆、潜在的な性加害者」と言わんばかりの主張に賛否は割れた。女優カトリーヌ・ドヌーブ氏ら100人余りの識者は「過激さ」をいさめる公開書簡を出したものです。女性解放論者の猛反発を受けて「書簡派」は声を潜めてしまいましたが。

今の女性解放運動は新フェミニズム運動とも呼ばれます。私見では、その特徴は男嫌いです。男性中心主義・男性支配を糾弾し、父系制を諸悪の根源としている。

私は違和感を覚えます。確かに男性による暴力は絶えません。戦争は最たる事態です。ただ日常的暴力は減っている。一方で、女性は政財官界に進出している。仏下院に占める女性議員は21世紀初めは1割程度でしたが、今日は4割近い。中等教育修了者は半世紀余り昔に、女性が男性を数で勝った。高等教育も全般的には女性優位の傾向を示している。米欧で女性解放は基本的には実現している、というのが私の立場です。 ※仏歴史人口学者エマニュエル・トッド氏

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