北朝鮮の拉致問題 早期解決へ問われる政府の実行力
2023年1月2日 18時46分 拉致

北朝鮮による拉致問題は、去年、一部の被害者が帰国した日朝首脳会談から20年の節目の年でしたが、ほかの被害者について進展がないまま年を越しました。帰国を待つ家族が高齢化し、時間に限りがある拉致問題の早期解決をどう実現させるか、ことしは政府の実行力が問われる年になります。

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家族会代表 横田拓也さん「日本政府は具体的作戦を」

横田めぐみさんの弟で、拉致被害者の家族会代表に就任して1年が過ぎた横田拓也さん(54)がNHKのインタビューに応じました。

この中で拓也さんは、去年を振り返って「目に見える具体的進展がなく、姉のことで言えば、拉致から45年経過しても居場所さえ分からない状態が続いています。どうして、これだけ長い時間が過ぎても、なお解決できないのか疑問だし、この1年も同じことを感じました」と話しました。

そして、被害者の親世代の高齢化に触れ「私の母で言うと、ことし、父が亡くなった年齢と同じ87歳になります。実際に声は小さくなってきているし、歩くスピードも遅く、つまずいてけがをすることもあります。拉致問題の解決に時間的制約があることは厳しい現実だと感じざるをえません」と語りました。

そのうえで、家族会が4年前に初めて出したキム・ジョンウン(金正恩)総書記宛てのメッセージに言及し「家族会は拉致被害者が帰って来たときに、彼らから北朝鮮で見聞きしたことを聞き出さないし、秘密の暴露や日朝国交正常化交渉の妨げになるようなことはしないと何度も表明しています。北朝鮮当局には、そこを信じてほしいし、勇気を持って決断してほしい」と呼びかけました。

日本政府に対しては「どうしたら北朝鮮を動かせるのか、どうすればキム・ジョンウン総書記が前に出てくるのか、具体的に作戦を組んでほしい。国際社会が科している経済制裁の枠組みを逸脱しない範囲で、人道支援や医療支援の提案など、もっと北朝鮮側が前に出やすくなるような作戦を考えて解決を迫ってほしい」と求めました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230102/k10013940051000.html