2021年12月25日に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、2022年7月に本格的な稼働を開始して以来さまざまな発見や貴重なデータを科学界にもたらしています。しかし、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の名前の元となったNASAの2代目長官であるジェイムズ・E・ウェッブは同性愛嫌悪者であると主張する声があることから、命名には一騒動あったとThe New York Timesが伝えています。
同性愛嫌悪者ではないかとの議論の渦中にあるジェイムズ・ウェッブですが、差別主義者として一面的に評価できる人物ではありませんでした。ジョン・F・ケネディ政権下でNASAの長官に任命されたウェッブは、黒人のエンジニアや科学者をNASAに迎え入れており、人種差別的な政論を展開していたアラバマ州知事から黒人の登用をやめるよう圧力を受けた際には、「アラバマ州にあるマーシャル宇宙飛行センターから有能な科学者を中央に引き抜くぞ」を脅しをかけたという記録が残っています。
しかし、トルーマン政権下で国務省次官を務めていたウェッブは、人種差別とは別の問題に直面しました。それが、同性愛差別です。当時、反共産主義の先頭に立っていたジョセフ・マッカーシー上院議員ら率いる共和党右派のグループは、国務省を攻撃して、共産主義者や当時は「変質者」扱いだった同性愛者をあぶり出そうとしていたとのこと。
こうした時流に対してウェッブがどのような態度を取ったのかについては、はっきりとは分かっていません。トルーマン大統領はウェッブに「共和党の調査を遅らせるように」と助言しましたが、ウェッブは法的な命令に公然と逆らったりはしなかったとのこと。またNASAには、ウェッブが上院の調査官に人事ファイルを提出しなかったという記録が残されています。
https://gigazine.net/news/20230102-james-webb-telescope-gay-rights/