男女ペアで主役の『ザ・カゲスター』 少年たちはヒロインの「ベルスター様」に釘づけに

「いいからベルスターを映せぇ!」

 男女ペアが主役でヒットした特撮番組『ザ・カゲスター』(1976年)を知っていますか? 
とある会社に勤める社員・姿影夫(カゲスター)と社長令嬢で秘書課の風村鈴子(ベルスター)が悪を倒します。
「女性が上司」というのも当時としては珍しい設定でした。ふたりは変身するのではなく、影が分身してヒーローとなって戦います。これも斬新でした。

『ザ・カゲスター』は瞬く間に人気が上昇します。そこには確実なヒットポイントがありました。
基本、少年が見る番組ですから分かりますよね? そうベルスターです。というかベルスターのパンチラです。
……すみません、ここからちょっとピンクなお話になります。懐かしい昭和のエピソードを紹介するだけなのでお許しください。

●「ベルスターキック!」にクギづけだった

 今と違って昭和の少年にとってエッチなソースは貴重でした。子どもが見ても許されるテレビ番組で、
当時、女性が登場してきわどいシーンが見られる特撮といえば『キカイダー01』ビジンダーのマリ(志穂美悦子)や
『仮面ライダーストロンガー』電波人間タックルなどありましたが、スカートのなかが見えそうで見えず、
「クソーもうちょい!」と、涙をのむケースが多かったのです。
ビデオなんてない時代、みんなその瞬間を見逃すまいとテレビを食い入るように見ていました。

 しかし、そんな貴重な瞬間を大盤振る舞いする女神が登場します。
それが、『カゲスター』のベルスター様です。なにせ、コスチュームがひらひらとしたフレアの白いミニスカートですから、
ちょっと動いただけで見えちゃいます。敵にキックなんてしたら純白がモロ見えです。

「カゲスターはいいからベルスターを映せぇ!」と叫んだ少年はたくさんいたでしょう。
もちろんパンチラといっても下着ではなく、見えてもいい衣装であるのは理解しています。
しかしスカートヒラリで見えちゃう映像に価値があってゾクゾクしたのです。ちなみに番組にはPTAからクレームが届くこともあったとか。

セクシーでカッコいいヒロイン像 演じたのは21歳の早川絵美さん

 このベルスターを演じたのは早川絵美さん。当時21歳でした。少林寺拳法初段の腕前で、
アクション俳優として『仮面ライダー』『ウルトラマンレオ』などの特撮や時代劇などのドラマにも多数出演経験がありました。

ベルスターは初めての主役級でしたが、大変だったのは鈴子とベスルターの二刀流です。
分身後のベルスターは顔半分が出ているので鈴子がそのまま演じることになりました。

 ただ、身長は163センチと当時の女性としては高くて見栄えし、少林寺拳法初段の腕前だけあって、
パンチの正拳突きはもちろん、高く脚を上げたキックはつま先までピンと伸びて形がとても美しかったです。
セクシーでカッコよかったのも魅力でした。

 昔見た記事には「ベルスターのコスチュームは腕も足も露出度が高かったので時期によっては寒さとそして生傷、ケガとの戦いだった」。
ミニスカについては「恥ずかしさはあるけどヒーローだから」とあり、大変だけれど若さで乗り切ったのだろうと思います。

 女性のベルスターは男性のカゲスターとほぼ対等の実力で戦っていたため、女の子からも「強くてカッコイイ」と支持されました。
お話はコメディな要素も含んで楽しかった『ザ・カゲスター』は全34話で終了しました。

 早川絵美さんはたくさんのファンを獲得し、その後グラビア雑誌で水着姿を披露するなどアイドル的な人気を誇りました。
『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャー役・誠直也さんと結婚され、67歳になった現在も俳優としてご活躍中です。

 今ではちょっと考えられないポイントで人気スターとなった『ザ・カゲスター』の「ベルスター」。
これをきっかけに、特撮の女性ヒーローにセクシーなシーンが少し増えた? 
なんてこともあったとかなかったとか。ベルスターの功績は大きいのです。

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