社説:米軍駐留経費 妥当性の根拠示すべき

日米両政府は、2022年度から5年間の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を、総額1兆551億円とすることで合意した。

 16~20年度と比べ750億円の増額となる。単年度では約2110億円と、現在より100億円ほど増える。

 インド太平洋地域での中国の軍備拡張など、日本周辺の安全保障環境を踏まえ、米側の増額要求を受け入れた。

 日本は安全保障の基軸に日米同盟を据えるが、連携強化を理由に経費肩代わりを膨らませた形だ。妥当な負担と言えるのか、政府は金額の根拠を明確にし、国民に説明しなければならない。

 合意では、自衛隊と米軍の連携力を高めるためとして、共同訓練に使う最新システムの購入などに充てる訓練資機材調達費が新たに盛り込まれた。

米軍基地が攻撃を受けた場合も基地機能を維持するなどの名目で、整備用格納庫の建設など施設整備費も増額した。

 沖 縄の負担軽減のために、米領グアムで行っている戦闘機訓練を米アラスカで行う費用も新たに負うという。

政府は今回、駐留経費負担を「同盟強靱(きょうじん)化予算」に名称を改めるとした。

 日米地位協定に定めのない経費肩代わりであり、「思いやり予算」という通称によって「米軍への過剰な配慮」という印象を避けたい狙いがあるといえよう。

 だが、呼び名を変えても日本側の負担の大きさに変わりはない。

 日本は駐留経費以外にも、沖縄県の米軍施設の整理・縮小計画を進めるための「日米特別行動委員会関係経費」と、同県普天間飛行場の県内移設などに伴う「米軍再編関係経費」を担っている。

 それらも加えると、21年度は約6200億円にも上る。基地周辺自治体への交付金も含めれば、さらに負担額は大きくなる。

 米国防総省の04年報告によると、日本の駐留経費負担率は74%に達する。40%程度のイタリアや韓国など他の同盟国と比べても


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