驚きのタイ「ボーイズラブ」事情。一線を越えると毒になる“好奇心の危うさ”も
https://news.yahoo.co.jp/articles/187ad9bb299ad96547152239bb7d915b73f2d6ab

ファンが自身へ問うべき「自分と他者の境界線」

ドラマでは、主人公のパンがShipの対象であるキムの身体の中に入ることになり、「観察者」から「当事者」へと視点が変わっていく様子が描かれています。

パンは自分が妄想をふくらませて創作の対象にしていた相手になることで「生身の人間をShipする」ことが生む影響を身をもって経験します。キムの身体で過ごすうちに「自分が他人のことを決めてよいのか」という問題に直面し、だんだんと自分と他者の境界線を問うようになります。

『The Shipper』監督のAticha Muilanieさんは、インタビューの中で、人を盲目的に応援するトキシック(「有害な」「人に害を及ぼす」)な面についてこう語りました。「どんな人にも他人には予期できない自分なりの決断や行動があります。だからこそ何が幸せなのか、自分に問わなければいけません」

僕はこの言葉から、先日議論を呼んだイギリスの大人気ドラマ『HEARTSTOPPER ハートストッパー』を取り巻く騒動を思い出しました。
“好奇心”が“毒”へと変わる危うさも

同作で、主人公の男性・チャーリーとロマンティックな関係になっていくニック役を務めたキット・コナーさんが、現実のセクシュアリティを一部のファンから執拗に探索された結果、望まないカミングアウトをさせられたという出来事がありました。

僕もドラマをきっかけに彼に夢中になり、色々な面を知りたくてSNSをフォローしたひとりなので「人となりについてもっと知りたい」という強い気持ちが湧くのはよくわかります。けどそんな熱心な好奇心も一線を超えると毒になることを自覚していないと、人を傷つけることになる──『HEARTSTOPPER ハートストッパー』を取り巻くこの一件により、その危険性について改めて認識させられました。