安倍元首相の銃撃事件を子どもにどう伝える? 児童心理の専門家と小学校教員からのアドバイス

子どもには不要な情報もある

基本的に、親が見せたくないと思った情報は避けていい。銃撃の場面やネット情報でピストルを自作したことなどは、子どもに不要だと思う。ただ、今は繰り返しメディアで流れ、子ども同士の話題にも出てくるので遮断できない。子どもが悩んだり精神的にダメージを受けていたりしたら親が支えてほしい。

「命は大事。暴力で奪うことはよくない」。これは大前提。小学校低学年にはあらためて伝える。中学年以上は、さらに問いただしてくることもあるので、率直に答えてほしい。周りの大人の受け止め方や考え方が、子どもにとって勉強になる。
私なら「つらく悩んでいる時、受け止めて一緒に解決方法を考えてくれる人がいないと、苦しさがあふれ出て暴力になってしまう。友達や家族は大事だよね」と言う。不明なことは「今の情報ではわからない」、ネットでおかしな発言があったら「言い過ぎじゃない?」と話すのもいい。

「攻撃的な言葉」で断じない

ただ、凶悪な事件でも、安易な言葉や攻撃的な言葉で断じることは避けた方がいい。今の時代は、一面的に物事を論じがちだが、いろんな見方がある。
例えば、ロシアのウクライナ侵攻も同じ。学校でも子どもから、どちらの国が悪いのかと聞かれる。ロシアが武力行使をしたのは事実。ただ、他国がウクライナに武器を供給する現状は、死者を増やすことにならないか。
今回の銃撃事件も丁寧に話し、親も子どもと一緒に考える機会を持てるとよいのではないか。

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