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ビリでギャルだった小林さやかが「大人こそ勉強する必要がある」と考える理由

 ベストセラー本『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著/KADOKAWA)で話題になり、『映画 ビリギャル』(2015年)のモデルにもなった小林さやかさん。大学卒業後はウエディングプランナーとしての仕事を経て、教育学の研究のために大学院に進学。これまで教育に関する全国での講演活動やイベントの企画運営など、多岐にわたる活動を精力的に続けてきた彼女が、2022年秋からコロンビア大学の教育大学院で学んでいる。
多くの生徒や教師、親と交流するなかで「教育」における子どもと大人の関わりの大切さを改めて感じ、32歳で大学院留学を決意した小林さんの新刊『ビリギャルが、またビリになった日 勉強が大嫌いだった私が、34歳で米国名門大学院に行くまで』(講談社)より抜粋、一部修正してお届けする短期連載。第3回は、小林さんが大人何なってあらためて考える、「大人にこそ勉強が必要だ」と思う理由についてです。

大人になってやっとわかる「勉強する意味」

 皮肉なことに、多くの人は勉強する意味を、大人になってはじめて体感する。「やべーもっと勉強しとけばよかった」と、だいたいの大人が思うことになる。年齢を重ねると、背が高くなるだけでなく、「視座」が高くなる。見える景色も広くなるし、視点も多くなる。 そうすると、学校で勉強していたことの多くが、私たちのリアルな生活とつながっていることを、やっと理解する。

 「数学って絶対意味ないと思ってたけど、数学できる人ってこういう分野で活躍できるのかよ......」とか、「日本史とか世界史って、ただの暗記だと思ってたけど、いまこの瞬間起きているニュースを理解するには歴史知らないと無理なんじゃん......」とか、えーそれは早く知りたかったよ、ということばっかりだ。

 こうやって、もう何世代も「あーあ、もっと勉強しとけばよかったな」と、大人になって後悔する人が続出している(かく言う私も、そのうちの一人だ)。
伝わらない、愛のメッセージ
 例えば、大人だって「こんな意味ねえ会議に何時間使うんだよふざけんなよ」と思うことがある。そう思いながら出席する会議で、いいパフォーマンスなど発揮できるはずがない。我々人間は元来、「意味がないと信じるもの」を頑張れるようになど、つくられてはいないのである。

 では、子どもたちの気持ちになってみたらどうか。あなたがもしもう大人なら、自分が子どもだったとき、学生だったときのことを思い出してみてほしい。「あなたのために言ってるのよ? 勉強しなさい!」と言われて、どう思うだろうか。「うわあ、お母さん、私のために言ってくれてほんと優しいな。勉強しよう!  ルン♪」とは、たぶん、ならないだろう。

 「サインコサイン? 織田信長? それらは私の人生に関係あるんですか? これ覚えて、なにになるんですか?」と半ばキレ気味で思ったことが一度でもある人は、素直に 認めてほしい。勉強しなさい!  といま子どもを追いかけ回している大人だって、元々はおんなじところにいたんだ。 しかし、親が意地悪で言っているわけではないのは、おそらく子どもらも理解している。

 親は子どもが大好きで、幸せになってほしくて言っている。なかには、「自分のように後悔してほしくない......!」という強い思いに駆られて、必死で子どもを追いかけ回して言っている人もいるだろう。

 しかし、その思いは残念ながら伝わっていない。これを傍から見ていて、この愛のメッセ ージの一方通行は、どうやったら解消されるだろうか、とずっと思ってきた。そして、私の個人的な結論にたどり着いた