ポニーテール全員OK 男女別撤廃、生徒会主導の校則
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ジェンダーフリーの画期的な新校則が、生徒会主導で誕生した。岡山県立興陽高校（岡山市南区）は髪形などの「規制」を大きく緩和したうえ、男女の別を撤廃した校則の改定を決め、新年度の4月から適用する。例えば、男子でもポニーテールが可能。生徒会は企業136社から回答を得たアンケートなどを基に「理詰め」で、学校側と交渉した。
これまで、男子のツーブロック（側頭部などを短く刈り上げる）、女子のポニーテール（髪を後ろにくくって垂らす）など若い世代に人気の髪形は、禁止されていた。それぞれに許容基準を設けて認めたうえで、男女の枠を取っ払った新時代の校則となった。
「髪形の規制は時代にそぐわない」などの声が生徒から上がる中、ジェンダーフリーまで踏み込むことを強く訴えたのは、生徒会書記の大下隼ノ介（しゅんのすけ）さん（2年）だ。自身の性別について「男女ではなく、自分は自分」と語る。中学では耳が隠れる長髪だったが、高校入学後は男子の規則に則して短く切るしかなかった。
「性別が理由で苦しく、嫌な思いをしてきた。行動に移せたことを誇りに思う」と言う。髪を伸ばすのを楽しみにしている。
生徒会は2022年4月に校則見直しを学校側に働きかけることを決めたが、当時は東京都立高校の「ブラック校則」が話題となっていた。「茶色っぽい地毛は黒く染める」などの項目について都教委が見直しを促し、一部が廃止された。
生徒会はこうした動きを注視しながら「大人任せにせず、自分たちが考え、新しい校則を提案したい」と考えた。「社会の声」も知るため、主に県内の企業計162社にアンケートを送り、玉野ライオンズクラブ（岡山県玉野市）などと意見交換会も開いてきた。
高校生の就職活動での面接時に、企業側が髪形、服装などに抱くイメージを調査。「程度の問題で、髪形はそこまで気にしない」、ジェンダーフリーも「時代の流れ」との反応が大半だった。こうした根拠を踏まえ、学校側に切り込んだ。
生徒会活動に携わる井上ゆみ教諭（56）が、これまでの校則について、くすっと笑う。「教員って、世間が狭いんですよ。学校の中だけでの『常識』で動く。生徒たちが、改めて教えてくれた」
当初は懸念を示していた教員もいたというが、22年11月の職員会議では、生徒会提案の新校則を全員一致で認めた。古沢氏由児（しゅうじ）副校長（55）が言う。「みんな、気持ちを動かされた」【
