
――結婚支援事業の廃止を決めた理由は。
◆結婚という極めてプライベートで、個人の価値観に関わる話題に、公が関与すべきではありません。「結婚して」と働きかけるのは余計なお世話でしかない。さらに、少子化対策として結婚をすすめるのは、結婚できない人、子どもを持てない人、LGBTQなど多様な人たちへの配慮も欠けています。
そもそも結婚推奨が少子化対策になるとは思いません。日本より出生率が高い欧州の国々は婚外子の割合も高いのです。フランスやスウェーデンが5割以上を占めるのに対して日本は2%程度です。こうした国の少子化対策を見ると、婚外子であろうと生まれてきた子どもの権利を保障して経済的にしっかりと支援している。どんな境遇で生まれた子どもであっても学費、医療費、生活費の支援が充実し、社会全体で支える仕組みがあるからこそ、子どもを産もうという気持ちになるのではないでしょうか。「まず結婚」をスタートラインにしていては、前に進まないと思います。