再エネで作った余剰分電気、暗号資産運用を支援する装置に活用…東電PG
2023/01/10 05:00

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 送配電会社の東京電力パワーグリッド(PG)は今夏から、再生可能エネルギーで作った電気の余剰分を、暗号資産(仮想通貨)などの運用を支援する装置で活用する事業を始める。

 太陽光などの再生エネを巡っては、送配電網の容量不足から再生エネの電源を接続できないケースなどが散発している。新事業は、こうした事態が起きる可能性が高い地域で行う。

東電PG管内では、大規模な太陽光発電所が多い北関東などが想定されている。事業は、東電PGの完全子会社「アジャイルエナジーX」が展開する。

 具体的には、太陽光発電所の近くなどに設置したコンテナ内に、コンピューターやサーバーといった暗号資産の運用を支援する装置を配置する。

アジャイルエナジーXは、この装置で取引データを検証してブロックチェーン(分散型台帳)に記録する作業などを行い、暗号資産の取引所運営者から報酬を受ける計画だ。

 こうした装置には大量の電力が使われる。電気の需要を作り出すことで、再生エネによる電気が余る事態を抑えるとともに、新たな収益源に育てたい考えだ。

 将来的には、各地域の電力需給に合わせ、コンテナ型装置を移動させて運用することを視野に入れる。再生エネによる発電の効率化が期待できる。

 東電PGは、2020年夏に事業の実現可能性や効果を検証する実験を始めた。22年に完全子会社を設立し、事業化の時期を探ってきた。

 政府は脱炭素社会の実現に向けて、再生エネを「主力電源」と位置付け、最大限活用する方針だが、導入拡大には送配電網の整備など課題も多い。

東電PGの新事業は、既存の送配電網の有効活用にもつながるため、一つの解決策となる可能性がありそうだ。