貧困の子の学びを支える無料塾、続けるのは「ムカつくから」…教育への公的支出は先進国最低レベル
きっかけは9年前にさかのぼる。中野に住む大西さんは知人の小中学生の姉妹の家庭教師を頼まれ、衝撃を受けた。「下の子は小4だったが、小2から教科書を一度も開いていないようだった。問題文の意味を一つも理解できなかった」
背景にあったのは、通っていた区立小の学級崩壊。私立中学受験を目指す一部児童らが授業中に騒ぎ、教員が次々と休職して授業が成立せず、塾に行けない子どもたちが取り残された。
「どんな理由で学習環境が奪われるのかは予測がつかない。お金がないと機会を取り戻せない事態にムカついたんです」。出版社を辞め、無料の塾の構想を固めた。飲み仲間や大学の後輩に声をかけ、十数人のスタッフで始まった。今は総勢100人が協力する。
日本は教育への公的な支出額が先進諸国の中でも最低水準にある。少人数学級は実現せず、教員の労働環境は長時間勤務に追われる「ブラック職場」とされ、なり手不足は深刻だ。
「とにかく学校を変えないと。無料塾は応急処置。けがが重くなる前に何とかしないといけないのに…」。大西さんはずっと怒っている。「行政には期待できない。これまでもそうだった。ムカつくから続けていることに気付いてほしい」
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