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「危篤、至急連絡されたし」NTT、緊急定型文の電報サービス42年で幕 船舶向け無線電報も115年で終了

「危篤、至急連絡されたし」「急用あり」。通常の電報より安価に緊急事態を伝えられる定型文の電報サービスが1月10日夜に終了した。遠洋漁船などの漁師に向けて、通信士がモールス信号で打電する船舶向けの無線電報も同時にサービスを終了し廃止された。船舶向けの無線電報は1908年から115年続いた長い歴史に幕を下ろした。

 サービスを提供してきたNTT東日本と西日本は、携帯電話やインターネット、衛星通信などの発達で、いずれのサービスも役割を終えたと判断。定型文電報はサービス開始から42年で廃止される。

 NTT東日本によると、定型文の電報サービスは80年8月に開始された。死亡や危篤、災害を知らせる53種類の定型文に、任意の文字を加え、20字以内に収まれば1通374円(税込)で送ることができた。2000年には約2万6000通の利用があったが、20年には110通まで減少していたという。

 通常の電報サービスは継続するが、料金体系を見直す他、当日の配達受け付け時間を短縮する。

 船舶向けの無線電報は25種類の定型文があり、いずれも年賀のあいさつ。「電報略号」と呼ばれる3文字を打電すると、文章に変換されて相手に届けられる仕組みだった。略号が「ハイト」なら「新年明ケマシテオメデトウ、大漁ヲ祈リマス」、「ハウナ」なら「新年ヲ祝シ、御安航ヲ祈ル」となり、「ハヨマ」は「洋上ハルカニ、新年ノオ喜ビヲ申シアゲマス」と変換されるなど船舶の航行にまつわるさまざまな定型文が用意されていた。

 この無線電報も2000年には約4万6000通の利用があったが、20年は685通と大幅に利用が減っていたという。