「後退することなく前進を」日本の中国水際対策に旅行・航空業界から反発の声
1月4日、国際航空運送協会(IATA)のディレクターは、中国からの渡航者への水際対策について反発し自由化を求めた声明を発表しました。
1月5日には、国際空港評議会(ACI)ワールドが、中国からの渡航者への数カ国による渡航制限の実施を受けて、協調的かつ状況に応じた対応を取るよう世界各国の政府に要請しました。
他にも世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のCEOやEU系の航空会社など、中国からの渡航者への水際対策に反発する声が各界から上がっています。
IATAのディレクター、水際対策に反発 自由化求める
1月4日、IATAのディレクターであるウィリー・ウォルシュは、中国からの渡航者への水際対策に反発し、自由化を求める声明を発表しました。
ウィリー・ウォルシュは、「中国からの旅行者に対して、いくつかの国が検査やその他の措置を導入しています。過去3年間に効果がないことが証明された対策が、即座に復活したことは非常に残念です。オミクロン株の到来に際して行われた調査では、渡航に障壁を設けても感染のピークに違いはないと結論付けられており、せいぜい数日のピークを遅らせた程度です。
だからこそ、各国政府はWHOを含む専門家のアドバイスに耳を傾け、渡航制限を行わないよう勧告する必要があるのです。
国際的な接続を遮断し、経済にダメージを与え、雇用を破壊するような効果のない手段に頼らずとも、新型コロナウイルスに対処する手段はあるのです。政府は「科学的政治」ではなく「科学的事実」に基づいて決定を下さなければなりません」と話しました。
ACIのディレクター「後退することなく前進を」
1月5日、ACIワールドは、数カ国による渡航制限の実施を受けて、中国からの渡航者への水際対策について、協調的かつリスクに応じたアプローチを取るよう世界各国の政府に要請しました。
ACIワールドのディレクターは、「過去の過ちを繰り返すわけにはいきません。私たちは、国際民間航空機関(ICAO)やその他の国際機関と協力し、世界中のコミュニティに経済的・社会的利益をもたらす旅行、貿易、観光を完全に回復させるために不可欠な接続性を保護するために取り組んでいます。航空交通の円滑な回復とそれがもたらす利益を確保するためには、ICAOやWHOなどを通じて、国家間の国際的な旅行のプロセスを調和させる協力と基準の確立が不可欠です」と話しました。
また、「2歩後退することなく、過去から学んだ貴重な教訓を生かして前進を続けましょう」と続けました。
WTTCのCEOも中国からの渡航者への水際対策に反発
1月8日に発表されたWTTCの声明では、会長兼CEOのジュリア・シンプソンが次のように述べています。
中国の国境再開放について、「約3年の時を経て、中国がようやく開放されたことは素晴らしいニュースです」と話し、「世界中の中国人観光客は2019年に世界経済に2530億米ドルを貢献し、雇用を創出し、地域経済を活性化させました。中国の旅行・観光部門の回復は非常に歓迎すべきことです。中国人旅行者に効果のない検査を再び導入することは、世界の旅行業界にとって後退となります」と語りました。
https://honichi.com/news/2023/01/13/china_bordercontrolmeasures/