広島県福山市の社会福祉法人「サンフェニックス」（現・すみれ佑和会）の資金約5億7千万円を着服したとして、警視庁捜査2課は19日までに、いずれも元理事長の医師、楢崎幹雄容疑者（73）=福山市=と無職、佐藤裕紀容疑者（58）=東京都大田区=を業務上横領容疑で逮捕した。法人からは約30億円が外部に流出したとされ、捜査2課が調べている。
逮捕容疑は共謀して2018年7月～21年4月、当時理事長だった佐藤容疑者が管理していた法人の口座から医療協力費の名目で、楢崎容疑者の口座に約5億7千万円を送金し、着服した疑い。捜査2課は2人の認否を明らかにしていない。
捜査2課によると、楢崎容疑者が佐藤容疑者に42億円で法人の経営権を移す契約を結び、16年4月に理事長を交代。佐藤容疑者が楢崎容疑者に20億円を出資し、残りは医療協力の対価として年2億2千万円ずつ10年分割で払う条件だった。
楢崎容疑者のクリニックは契約に基づき、法人の高齢者施設に医師を派遣するなどしていたが、18年5月に終了。捜査2課は、医療協力が終わった後に支払われ続けた約5億7千万円が着服に当たるとみている。
法人は資金繰りが悪化し、21年9月に東京地裁から民事再生手続きの開始決定を受けた。〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF191D40Z10C23A1000000/
