https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013951921000.html
子牛がありえない低価格で取り引きされ、買い取り手のない子牛もいる。廃業を考えている酪農家も多い」
取材のきっかけは、北海道で開かれたあるイベントで聞いた料理人のことばでした。子牛の価格が下落しているとは、いったいどういうことなのか?
取材を進めて見えてきたのは、北海道の酪農の現場が直面する厳しい現実でした。
まず訪れたのは北海道南部にある酪農が盛んな八雲町です。
地区のJAを取材したところ、「この苦しい状況を多くの人に知ってほしい」と、町内の酪農家を紹介してくれました。
取材に応じてくれたのは片山伸雄さん。
90頭ほどの牛を飼育し、生乳を生産しています。
あまり知られていませんが、酪農家は「肉牛として育てられる子牛」も生産しています。
乳牛のホルスタインどうしをかけあわせて生まれた子牛の「メス」は、乳牛として育てられますが、子牛の「オス」や、乳牛や肉用の牛をかけ合わせて生まれた「交雑種」の子牛は、肉用として畜産農家などに販売され、育てられるのです。
こうした子牛は、酪農家にとっては大切な収入源です。
しかし、この価格が大幅に下落している、というのです。
片山さん
「去年6月には1頭13万円や14万円とかで売れていたんですが、去年9月5日には5000円でした」
牛1頭がわずか5000円。耳を疑うような安値です。
市場での取り引きはどのように行われているのか。北海道内で最も子牛の取り引き数が多い十勝中央家畜市場に足を運びました。
家畜市場に買い付けに来るのは、肉牛として子牛を育てる畜産農家です。
それまでは1頭10万円ほどで取り引きされてましたが、取材に訪れた去年10月のこの日は1頭およそ1万円。10分の1にまで下がっていました。
取り引きの最低価格である500円でも、取り引きが成立しないケースが相次ぎました。
いったいなぜなのか?
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